しけんのじかん
かなり久々にその中に入ったけど、試験会場ってエグい場所だ。
何もかもが最初から区切られた世界。
そこに自分のリズムを合わせる。
はみ出そうもんなら追放される。
太陽の光は届かない。蛍光灯があるじゃないか。
新鮮な空気は届かない。空調があるじゃないか。
やることがない。試験があるじゃないか。
人間を馬鹿にしてんじゃねえぞ。
……なんて叫んだって場違いなだけだ。
雰囲気に飲まれないようにと気をつけていたが、雰囲気に馴染む必要があったと何かを聞き漏らしてから気が付く。
試験官の言葉は定型句で死んでいるので、意識的に耳を傾けないと頭に入ってこない。
ちゃんと聞いてますかとか、あなた置いてかれてますよ、なんて誰も言ってくれない。
神経が擦り減って仕方がない。
回復できる時間はここには生じえない。
クレームをつけまくっているが、高校のときはそれなりにやれてた。
胃腸は文句を言ってたが、そういうシステムに疑いは持っていなかった。
あの頃の盲目な自分に尊敬と冷笑を捧げたい。
今となっては小学生でさえ当たり前にこれを経験してるらしい。
おかしな世の中だ。
パニックになって退室してしまう子のことを知ってる。
そのつらさを無視したり軽視する気は微塵もない。
ただ一方で、その反応は正解だと思う。
それを病気扱いする大人はこの世から退室してくれ。
しかし、テストはなくならない。
どのように凌ぐべきか。
雰囲気に魂を捧げると、少しは楽になる。
そう、ある意味では、とても楽な空間なんだと割り切ればいい。
何をやるべきかは最初からすべて決まっている。
生きることをやめてしまえば、生き残れるってわけです。
お疲れ様でした。