キノコたちの独話
バイオリンとブズーキとマンドセロで曲を作りました。
【キノコたちの独話についての木こりたちの対話】
あのキノコはむかし人間のようなネズミだったらしい。
珍妙な話ですね。
ああ、だが間違いない。
どうやってそのことを知ったんですか?
あいつがそう言ってたんだ。
あいつ?
その人間のようなネズミだったキノコさ。
キノコが「自分はむかし人間のようなネズミだった」と言ったということですか?
そうだ。
それはキノコの幻覚作用にやられたことの喩えですか?
幻覚作用の話なんかひとつもしちゃいないぞ。
でも親方はそういう幻覚を見てるじゃないですか?キノコが喋るっていう。
キノコは喋るだろ。
どのキノコが話したんですか?
どのキノコ?キノコはキノコだろ。
いやだから、会わせてくださいよ。その喋るキノコに。
森に行きゃ会えるさ。
毎日行ってますよ。
そうか。ならお前はまだまだ半人前ってことだ。
どうしたら会えるんですか?
そういう問題じゃないんだよ。出直してこい。
気が向いたらそうします。ところで、
なんだ?
人間みたいなネズミってどういうネズミですか?
さあな。喋ろうとでもしたんじゃないか。