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青い梟の輪郭

感じたことを括り直すための内的な語りや対話です。

【フィンランド滞在記11】 ロビーサ ピースフォーラム Loviisan Rauhanfoorumi

フィンランド

ロビーサピースフォーラムは金土日と3日間行われる。
メインは2日目で僕らが演奏で参加するのもその日だ。

 

 遡ることフェス前日の木曜日。
ジョアキムとはまだ1回も演奏の練習が出来ていないことを若干不安に感じていた頃、サリーが僕にボランティアスタッフとして3日間泊まり込みでフォーラムのあれこれを手伝ってくれと言ってると、インカから聞かされる。

というわけでヒッピー集団のカンファレンス以来部屋に置きっ放しだった寝袋を持って、翌朝早く、サリーと共にイハラを発った。車中、実はサリーの旦那のティモがこのフォーラムの企画・運営者であることを知った。ちなみにティモは優しくて穏やかで正直でとてもいい人だ。

 

サリー一家と僕を含むスタッフ3人が泊まる場所はレンタルスペースのようなところでわりと快適だった。もっともベッド等はないので、食堂的な場所に散り散りとマットレスを敷き各々のスペースを作った。

寝床を作った後、カフェでシナモンロールを食べ(やっと食べれた)、

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スーパーでサリーの買い物に付き合い(ムーミンの買い物袋を入手)、

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サリーの提案でロビーサでレストランを経営する日本人に会いに行くことに。

みんなからステさんと呼ばれるその方は、とても気さくな方で親切に色々と教えてくださったり、2日目にはなんとお宅にお邪魔させていただき、この地に住んでいる人ならではの気付きだったり考えだったりを聞かせていただくことができた。

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ロビーサという小さな町は海沿いにあって平和で穏やかでとパッと見聞きした感じはとてもよいところなわけだけど、実際には若者が少なく、観光スポットとしては近くのポルボーに見劣り、経済的にもそこまで発展性がない。それでも今回のフォーラムだったり、海沿いにレストランが出来たり、ステさんの店も地元民に受け入れられたりと、町は懸命に生きている。

観光客にそんな見方はできない。この町と共にあればこそだろう。
いや、日本人としての外からの視点も持っているからこそできる見方かもしれない。
少なくとも僕は自分が住んでいる町についてそういう風に考えたことなんてほとんどない。


ちなみに、3日目には味噌をタダで分けていただいた。
「日本で会っても助けてませんけどね」と彼は冗談交じりに言う。

でも確かに、せっかくこんなところで会ったわけだしというただその理由だけで会話が始まるのであって、例えば日本で同じ学校だったり職場だったりしたとしても一緒に話をしてるかどうかは分からない。

 

フォーラムの話に戻すと、今回はヒッピー達のカンファレンスのときとは違って、プログラムにも随時参加できて、とても充実していた。

印象的だったのは、教会で行われたバロック音楽のコンサートだ。この手の音楽は正直好きじゃないのに、何故だかすさまじい懐かしさを憶えて、ありえないぐらい感動した。

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また、サーモン尽くしのバイキングやサーモンスープも味わうことができた。

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ボランティアの仕事はテントやステージの組み立てなど肉体労働が主だった。ドワーフみたいな屈強な地元民に助けられながら何事もスムーズに進んだ。

肝心の僕らの演奏はというと、取り立てて書くほどのことでもないので割愛。

夜には広島原爆被害者への追悼として灯籠流しが行われた。

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フィンランドの田舎町で毎年こんなことが行われてたなんて、ほとんどの日本人は知るはずもない。日本のニュース等で取り上げられるべきイベントだと思う。


このイベントで音楽を担当したのが、日本人のシンジ・カンキという方。
聞けば1970年代からフィンランドに住んでいるらしく、「僕はただ日本語が喋れるだけ」らしい。このときの音楽は、紙で作ったピアノをただ海に浮かべるというもの。ピアノの音はしない。
多くの人はこれから演奏が始まるんだと思っていたようだが、シンジさん曰く、今音楽やってるじゃない、とのこと。とにかくぶっ飛んだ音楽を子どものように純粋に楽しみながら続けてるみたいだ。


そして、夜中12近くまで大量の蚊に襲われながら海辺の灯籠を回収して、シャワールームの鍵が失くなりシャワーできなくなって暴言を吐きまくるサリーに同情しながらぐっすり眠り、翌日のエンディングをステさんらと共に楽しみ、ひと通りの片付けを難なく終えて、HESBURGERで注文が混乱してまたも暴言を吐きまくるサリーを横目にチキンバーガーを美味しくいただき、僕らはロビーサを後にした。


誰よりも功労者であるサリーとティモには心の底から敬意を表したい。
ロビーサに連れていってくれたことへの大きな感謝も添えて。

 

それにしてもステさんやシンジさんを始めとして、本当に色々な人が母国を離れて頑張って生きていることを知った。ジョアキムやサリーだってそうだ。
ただ、どこに住んでるから凄いとか、何してるから凄いとかそういうのはたぶん違う。
彼らが尊敬に値するのは、彼らが生きているからだ。
生きなくても生きられる環境ってのは確かに存在する。
ときにはそこから出ることが困難なことにだってなり得る。
でも彼らは生きていて、その上でさらに自分にしかできない生産活動を持続させている。
だから尊敬に値する。

生きなきゃダメだ。全部そっからだ。